11月のネル物語

 猫の野菜、からす麦の季節になりました。 外で柔らかそうなからす麦の芽を見つけると、家にいるネルに食べさせるため摘んでくることが習慣になっていたので、いまでも道端や空き地にからす麦の新芽を見かけるとつい手が出そうになってしまいます。
 今月で、ネルの小屋が誕生して1年になります。 去年は、ネルも親戚の家にいた猫のミルクの様に20才まで生きてくれるものと思っていましたから、わずか半年でネルの小屋の主がいなくなってしまうとは考えてもみませんでした。
 時折思い出されるのは、ネルは気ままに生きて幸せな猫だったということと、よく叱りとばしてかわいそうだったという正反対のことです。 ネルがよく叱られたのは、人を噛むこととテーブルに上ることです。 この二つはいくら言われてもやめませんでした。 小さいときに親と別れたネルは、猫としての教育の機会が不十分で甘噛みの程度というものを知らなかったようです。 また、テーブルに上がることは、もともと高いところが好きなうえに家族が食べているものが気になるのでやめるつもりがなかったのではないかと思われます。
ネルは怒られると、いつも机の下にもぐって近づこうとしませんでした。

(ネルの食卓)
 わたし以外の家族はみんなで椅子に座って食卓でご飯を食べます。 わたしのご飯はリビングの隅にあるのですが、同じものがしばらく続くとあきてしまいます。 こんな時、みんなの食べているご飯がとてもおいしそうに見えるのです。 椅子の上に上って見るのですが、わたしは背が低いのでご飯を覗くことができません。 仕方がないのでテーブルの上に登るとママやパパに叩かれてしまいます。「みんなで何を食べているのかな?」と思って見ようとしただけなのに怒るなんてとてもひどいと思います。  本来、ご飯はみんなで一緒に食べるものですから、わたしの食卓もテーブルの上に作ってくれるべきです。 せめて「ネルさんどうぞ」と言って香りを嗅がせてくれれば、ほとんどの場合はそれで十分なのです。 それなのにテーブルに上がったとたんに叩いたりするのは本当にいけないと思いました。


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