今月もネルの遺稿を掲載します。 読んでやってください。
(ネルは美人猫)
8月は、毎年長野へ行く季節です。 長野では叔父さんと叔母さん、それにタカシの従姉妹のエリさんに会えるのです。 わたしを大好きなのに慣れていないエリさんは、おっかなびっくりです。 私も相手が落ち着いていないと安心できないので、何となく構えてしまいます。 いつも悪いとは思うのですが、これは仕方のないことなのです。
ある年、叔父さ一家が私と遊んでくれた時のことです。 叔母さんが「ネルさんは美人ネコよね。」と言ってくれました。 すると叔父さんが「エ! ネルは美人ネコなの?」と言うのです。
叔母さんはエリさんと私に「そうよ、目が大きくて美人ネコよね!」と言ったあと、叔父さんに「決まっているじゃない。 ネルさんは美人ネコなのよ! 見ればわかるでしょ。」と言ってくれました。
そうなのです! 世の中には決まっていることと決まっていないことの二種類しかないのです。
そして、私が美人ネコなのは決まっているのです。 ママだって「ネルさんは白い靴下をはいたみたいに手と足の先だけ白いのね! こんなネコはいないわ。」と言っているのです。
エリさんだって叔母さんだってママだって、みんなそう思っているのです。 なのに優しい叔父さんがそんな決まっていることを知らないなんてガッカリしてしまいました。 タカシもパパもこんな当たり前のことがよくわかっていないのです。 わたしの周りの男の人はこんなことが何でわからないのでしょうか? その点、おじいさんとおばあさんは私のことを美人ネコとだわかってくれています。 さすがに年の功とは言ったものです。
これは本当は秘密なのですが、わたしは茶トラなのに、お腹のところはダイヤモンドの形に白いのです。 こんな猫は滅多にいるものではありません。 神様はよくもこんな風に美しくしてくれたものだと思います。
田中マキ子さんとかいう人が、こんど総理大臣になった人のことを「鈍感」と言ったそうですが、タカシとパパをはじめとして鈍感はいけないことだと思いました。