自然の少ない蕨の街ですが、空き地に素朴な秋を感じさせる野菊の花をみつけました。
雨の多かった今年も、木犀の花の香る10月とともに
爽やかな秋がやってきました。
今月もネルの遺稿を掲載します。 読んでやってください。
(キャディーバッグ)
わたしたちネコは、遠くからでも人の足音を聞き分けることができます。 私は、家族が帰ってくる時、外の足音を聞きつけて玄関で待つことにしています。 せっかくの昼寝の時に帰って来ると出迎えを省略したり、あくびをしながら出迎えたりもしますが、ご機嫌の良いときは廊下に座って両手をそろえて出迎えてあげるのです。 とても気分の良いときは「ニャー」と言って声を出して迎えてあげます。
これはすごいサービスだと思います。 両手をついて御出迎えをする人間なんて、いま時どこを探したって滅多にいるものではありません。 更に、スキンシップで歓迎の気持ちを示してあげたりもします。 本来だったら、こんなお出迎えをされて「おみやげ」がないなんてことは言えないはずです。 でも我が家の場合、おみやげがあった試しは殆んどありません。
そんなとき、目に付くのはパパのゴルフバッグです。 我が家の玄関にはパパのゴルフバッグが置いてあるのです。 たいして上等にはみえませんしゴルフだって下手に決まっているのですが、持ち物の少ないパパにしては大切なものらしいのです。
私たちネコ族は爪を研がなくてはいけません。 いつも、段ボール製の爪研ぎを買って貰って使っているのですが、古くなると使い心地がイマイチです。 それに我が家では柱や畳、カーペットは「使用厳禁」なのです。 そこで、出迎えに行っても相手にされずにむかつくときや、新しい爪研ぎを買ってもらえないときは玄関にあるキャディーバッグを使います。 中のゴルフクラブが痛むわけではありません。 キャディーバッグで爪を研ぐと適度な抵抗感があって、爪を研いだ実感がわきます。 おまけにバッグの中でガリガリという音が反響して気分爽快になります。 木を削るのと同じ感覚で爪を研げるのも私のお気に入りです。
ところがある時、わたしが気持ち良く思いっきり爪を研いでいるのを見つけたママが、「さっきネルさんがゴルフバッグで爪を研いでいたけどいいの?」とパパにいいつけました。 それまで、どうしてキャディーバッグがささくれだってボロになるのか知らなかったパパは、驚いて目を丸くするとバッグを車のトランクに持っていってしまいました。
わたしは、家族の中でチクッたりするのは良くないことだと思いました。
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ネルの小屋ばっくなんばー
今月のネル物語
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