8 月 の ネ ル 物 語


 梅雨明け十日と言うようですが、関東地方は晴天の暑い毎日です。
霞ヶ浦ではアブラゼミの蝉時雨のなか、蓮が元気に花を咲かせていました。


 今月もネルの遺稿を掲載します。 読んでやってください。


(暑いのはきらい)
 わたしたち猫は寒いのが嫌いですが、暑すぎるのもきらいです。
春から初夏にかけては、冬の毛が抜けて少し身軽になるのですが、それでも毛は大切なので外見が変わるほど抜けるわけではありません。 人間みたいに冬服と夏服を使い分ける様なわけにはいかないのです。
 仕方がないので、暑いときはなるべく涼しい所をさがします。 とはいっても狭い我が家で行けるところは限られています。 水に浸かるのが嫌いなわたしは、冷たいフローリングか畳の上で風の通る場所を探します。 ベランダの網戸の前も悪くはないのですが、風が強すぎたり、光が差し込んだりして嫌なときもあります。 やはり一番は廊下です。 廊下は風が抜けるうえ、床が冷たくて気分は最高です。
そんな気持ちよく寝ているときに限って家族の誰かが通りかかったりします。 わたしは勝手に寝ているのですから、挨拶をしたければ勝手に声をかけて行ってしまえば良いものを、撫でたり抱いたりするのです。 わたしが暑くて涼しい場所を選んで昼寝しているのに、わざわざ抱きあげることはないと思うのです。 わたしは修行が出来ていますから、耐え難いいことでもかなり我慢しています。 やはり、精神面で猫は人間よりも修養が出来ているにちがいありません。
 ところで、人間たちの都合で夏休みなるものがあります。 タカシの小さい頃など、くそ暑いさなかにタカシの友達がやってきては私を捕まえようなどとしました。 無学文盲のガキどもは何をするか解らないので、子供が来たときはなるべく顔を合わせないように隠れます。(風通しの悪いところに隠れるのは暑くていやなのですが・・)
それにしても、パパがよけいなサービス精神で「猫のネルがどこかにいるから探して遊んだらいいよ!」と子供たちに言ったりするのには困ってしまいます。 人間も私たち猫みたいに、もっと大人になって、他人に干渉しないようにしたらいいと思っています。



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