12 月 の ネ ル 物 語


 早くも師走になりました。 なんと1年の短いことでしょう!
とは言っても、今年を振り返ってみれば多くのことがありました。 我が家ではパスカルが家族の一員に加わりました。 そして、ネルも乗って旅行した我が家の愛車オースターが今月で引退することになりました。 日産自動車が苦境に立たされているようですが、11年間がんばって走ってくれたニッサン・オースターは目立たない車種ながら、スピードではよその車に滅多に負けなくて、故障することのない、運転しやすくてしっかりした大変に良い車でした。


 今月もネルの遺稿を掲載します。 読んでやってください。


(クロゼット)
 わたしの好きな場所は、高いところ、狭いところ、暗いところ、暖かいところです。
 高いところは、みんなを見おろしして良い気分になります。 きっとわたしの祖先が、獲物を狙うのに高いところに登って見おろしたのが遺伝しているのだと思います。
 狭いところは安心できます。 きっとアフリカの砂漠にいた祖先の住んでいたところに似ているのだと思います。
 暗いところも同じです。 砂漠の夜行性動物だった祖先の影響で、暗いところが安心出来るのだと思います。
 暖かいところが好きなのは、やはり北アフリカの出身であることに関係があると思います。
そんなわけで、わたしは箪笥の上や、冷蔵庫の上など我が家のなかで高いところに登るのが好きです。 それとともに、押入のなかやクロゼットの中も大好きです。
 けれども、我が家ではクロゼットの中は原則として立ち入り禁止になっています。 理由は二つあります。
第一は、わたしがクロゼットに閉じこめられるといけないと言うことです。 わたしは、前にクロゼットの中で寝てしまい、家族が探しても返事をしなかったために、ひどく叱られたことがあります。
第二は、わたしがクロゼットに入ると、家族の服にわたしの毛が付くと言うのです。
 以上の2つの理由から、わたしはクロゼット立ち入り禁止になっています。 昔、中国の上海が外国に支配されていたとき犬と中国人が公園に入れてもらえなかったみたいに、我が家でわたしだけが差別されているのです。
 わたしが、家族に呼ばれても返事をしないのには訳があります。 たいていの場合、気持ちよく寝ている時に呼ばれても返事をしたくないのです。 ママに呼ばれてうかつに返事をすれば、飛んできてクロゼットから連れ出されて安眠を妨げられるからです。
ママは、わたしに「返事ぐらいしなさい。 どこへ行ったかと思って心配するじゃないの!」と怒りますが、わたしにはわたしの都合というものがあります。 出て来てほしければ鰹節でも用意すればいいのです。
 わたしの毛が服に付くと言う点ですが、そのためにブラシがあるのです。 パパなんて、出勤前のスーツにわたしの毛が付いていると「またネル毛が付いているよ! はずかしいなあ。 猫を飼っていますって宣伝して歩いているみたいだ。」と言うのです。 パパは、そのためにポケットブラシを持っているのですから、わたしの毛が着いたって困らないはずです。 それに、猫を飼っていることは、はずかしいことではありません!!! 立派なことです。
 わたしには、自分の家を好きに歩き回る権利があるとおもいます。



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