10 月 の ネ ル 物 語


 「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、今年はそのとおりになりました。
このところ、朝晩は肌寒く感じることもあったりして、秋は一気に本番になりはじめています。
 さて、以前97年9月98年3月で少しご紹介した、子猫のロビさんの家族がホームページを開設しました。
 猫の話やイラストいっぱいのBOOK WORM WALKSで、毎週更新されています。

 今月もネルの遺稿を掲載します。 読んでやってください。


(脱兎のごとく・・)
 以前、誤解のないように私が美人猫だと書きましたが、あらためて念のために私が美人猫である理由「美人猫の条件」を述べておきます。
 まず、美人猫は”カワイク”なくてはなりません。 カワイイためには、顔立ちが整っていて、目が大きくて、毛並みが美しいことが条件となります。
 次に、太っていてはいけませんが、ヤセ過ぎもいけません。 しなやかで、バランスのとれた体型でなくてはならないのです。
 3番目に、身のこなしが美しくなくてはいけません。 人間のコンテストで歩き方が問われるのと同じです。 できれば運動能力も高い方がよいでしょう。
 4番目に、性格が良くなくてはいけません。 性格ブスなどという言い方がありますが、内面もたいせつです。
 なお、世間では品評会などと言って種類とか血統書がどうのと騒がれますが、これは「美人」かどうかということには全く関係ありません。 人間の美人コンテストで人種が問われないのと同じです。 このことも念のために言っておきます。

 私の場合は、家族の一部を除いて多くの人が言うように、第一の条件であるカワユイことは間違いありません。 毛並みもとてもきれいです。 特に耳の後ろの毛なんてシルクの様です。 きっとミンクも真っ青になるだろうと確信しています。
2番目の条件であるプロポーションは、もちろん太り過ぎず痩せすぎもせず美しい体型です。 中には、猫のことが良く解らなくて足が短いなんて悪口を言う人がいますが、そんなことはありません。
3番目の「身のこなし」ですが、もちろん足音もさせないでしなやかに歩くことができます。 私は、その点でパリコレのモデルにも負けないと思っています。
最後の性格も、”最高”です。 まず、気だてが優しくて家族思いです。 ご飯がまずくても、大して文句は言いません。 テーブルに好きなお魚が載っていても勝手に食べたりなんて、あまりしません。
そんなわけで、わたしは美人猫にきまっているわけです。
また、昔から美人は深窓の令嬢とか言って家の奥にいて日向を出歩いたりしないものと決まっています。 私も、そこいらの野良猫と違っていつも家の中でじっとしているのです。

 ところで話は変わりますが、 なんとしても我が家の毎日は退屈です。
 ご飯を食べてお昼寝をして、日向ぼっこをして、家の中をウォーキングして、爪研ぎをして、「ウサギの毛のおもちゃ」やボールで遊んだりして、ベランダから外の鳥たちをバードウォッチングして・・・・たまに家の中を全速力で走って気分を変えて・・・・・なんてことしてもやっぱり退屈になります。
 どうしても退屈なときは、仕方がないのでタカシがおもちゃで遊んでいるのを邪魔して意地焼かしをします。
 完成間近のジグソーパズルの後ろ足で蹴飛ばしてバラバラにしたり、積み木の塔を尻尾で叩いて倒壊させたり、電車のレールの上に寝ころんで脱線させたりするのです。 一番スリルがあるのは、テレビゲームのスイッチを踏みつけるかコードを引っかけて電源を切ってしまうのです。
 そんな時は、見つかったと同時に脱兎のごとく駆け出して逃げなくてはなりません。 プラスチックのバットを持って追ってきても届かない欄間の上に飛び上がって、ほとぼりが冷めるまでまつことです。 この時のスリルは、最高です。 間違って捕まったら大変なことになるのですから、退屈はいっぺんで吹き飛んでしまいます。



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