寒い今年の冬も、ようやく終わりが見えはじめる3月になりました。
今年は灯油の使用量が増えたとか、家電リサイクル前のかけ込み需要があるとか・・・でも今日の株価はバブル崩壊後の最安値だったそうです。
近所の材木屋さんのバラの花は、冬の寒さに耐えて蕾をふくらませていました。
今月もネルの遺稿を掲載します。 読んでやってください。
(しらんぷり)
古代エジプト以来、宮殿とか、お城とか、お屋敷とか、都会に住んできたわたしたちネコにとって「都会人のたしなみ」は生まれながらにして身についているものです。
そのひとつは他人に干渉しないということです。
このことが、よく人間の誤解を招いてネコは薄情だとか言われますが、決してそんなことはありません!! 邪推というものです。
ネコにとって、一番の礼儀しらずはよけいな干渉をすることです。 たとえば、折角お昼寝をしているところを触りにきたり、いやがるのに抱っこをしたりすることはこれにあたります。
わたしの様に、1人で家にいるネコはあまり余所のネコに気を使わなくてもすむのですが、ノラのみんなは大変です。
お散歩をしていて誰かと会いそうになったら、なるべくお互いに見つめあったりしないように目をそらせ、先に気づいた方は相手が通り過ぎるまで目立たない場所でじっと待ちます。
「こんにちは。」とか「おはようございます。」とか「ごきげんいかが?」とか「今日はいい天気ですね。」とか「お久しぶり!」なんて挨拶をしてはいけません。 「しらんぷり」をしてあげるのが親切で、他人への気配りとされます。
みんな、それぞれに物思いにふけったり、哲学しながら散歩をしているのですから、よけいな声をかけたりして邪魔をしないことが一番の礼儀なのです。 お昼寝をしている人を起こさないようにするのなんて、子供の頃最初にしつけられる基本の基です。
人間のように、わざわざ人里はなれた山へ登山をしたときにまで知らない人に声を掛けるなんて、ネコの世界の良識では無礼千万、即刻決闘ということになります。
要は、他人に干渉しない、お互いに出しゃばらないで相手を尊重してあげるという心遣いが大切とされているわけです。
ですから、相手の様子をよく観察して、淋しそうな人には近づいて行って声を掛けたりスキンシップをしたりします。 困っている仲間は助けます。 人間のみなさんにおわかりでしょうか?
当然ですが、パパのように何にでも口出しをして世話をやくのはとんでもなく非常識なこととされています。 食事の途中で目があうと、自分の好みで「ネル! 食べてご覧、おいしいから!」なんて言ったと思うと、わたしを捕まえて食べ物を口に押しつけることがあるのですが、これを私たちネコの世界では「田舎者の悪勧め」と言います。
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ネルの小屋ばっくなんばー
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