1 月 の ネ ル 物 語


 お引っ越しは大変でした!! 旅行用キャリーのロックが甘くなっていてパスカルが逃げ出し、押入に立てこもって抵抗したり、荷物の量が想像以上に多かったため、ネルの小屋の更新もメールのお返事すらも手つかずの日々でした。まだ過去形ではなく大変な状態は一部新年まで持ち越してしまっています。大阪のねるさんのママほかお手紙を頂いた方々には後日お返事させて頂きます。

 今月もネルの遺稿を掲載します。 読んでやってください。


(あしおと)
 わたしは人の足音で誰が帰ってきたかすぐにわかります。以前住んでいた家では4軒も先にあるエレベーターホールから家族が長い廊下を歩きだした時に判ったものです。パパが遅く帰宅する頃は辺りも静かになっているので、コツコツと靴音を立ててエレベーターホールから歩いてくる間にやおら起きあがって、あくびをして、伸びをして、ゆっくりと出迎えれば、丁度パパが玄関に着くタイミングでした。
 パパが我が家の扉を開けると、わたしが両手をついて玄関でお迎えする寸法です。
寒い冬の道を帰って来たパパは、わたしのお出迎えをとても喜んで「ネルはお利口さんだね!!お出迎えありがとう!」といつも感激して言ったものです。ママはわたしがお出迎えに行くのを横目で見ていて、パパが玄関に入った後で台所から顔を出します。
 ところが、今の家はエレベーターホールの前に扉があるため、パパが足を一歩踏み出した瞬間に跳んで行かなくては間に合いません。どんなに一生懸命にお出迎えをしようとしても、リビングからでは間に合わないのです。全速力で走って行って立ったままのお出迎えはさまになりません。そんなわけで、いつしかお出迎えの習慣はとりやめになりました。
 お出迎えをすると、疲れて帰ってきてもご機嫌の良くなったパパが、遅い晩御飯を食べながらわたしの好きなおかずを分けてくれたものです。「ししゃも」がおかずについていたときなんか、ママの怖い顔もなんのそので、半分以上をたわしがもらったこともありました。お出迎えはわたしにとってもメリットのある習慣でした。いまの家は前よりも広くなって、暖かくなって、景色も良いのですが、お出迎えをできなくなったのは残念です。


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