当分、家の人たちは旅行の予定がないらしいから、僕は家の中で場所を移動したり、お気に入りの玩具で遊んだり、かあさまの傍でぼーっとしたり、穏やかな日々をおくることができる。
今思い出しても、飛行機や電車に乗せられたことは身震いがするほど苦行だったョ! でもパパの実家の爺ちゃん婆ちゃんは、うーんとやさしかったから、あの人たちには、また会ってやってもいいんだ。 それと・・・・初めてできた猫族の友だちのチャコさんにも。
チャコさんは、パパの実家の近所の飼い猫だけど、パパの実家を第二の家だと思ってて、昼寝と昼食を必ずそこでとるんだ。 僕が家の中にいたから、このおばちゃん猫は何となくうさん臭げにしてたけど、「小ちゃい子だから面倒みてやっか」と、博多の女らしい姉御肌気分を出して、いろいろとお話ししてくれたんだよ。 それまで家の中で「どこか浮いているナー」と思ってた僕は、チャコさんに会って、自分が猫だということ、猫の正しい啼き方は、「ヒャッヒャッ」でなく「ニャー」とか「ニャオ」であることを覚えたってわけ。
でもパパにつかまえられて、無理矢理に「逃げたいな」と思ったら、夢中で「ワァン、ワォン」と言ったりするみたいで、「何だ、犬みたいなヤツだ」って言われちゃうけどね。